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エスペラントを通じた韓国語との出会い

広島の平和公園を歩いていると、英語で話し掛けてくる外国人に出会うことがある。そのことに疑問を感じる人はあまり多くないが、よく考えてみるとおかしな話だ。日本人がアメリカへ行って、街を歩いているアメリカ人に日本語で話しかけたりはしないからだ。

異なる言語を話す人同士が会話をする時に、どちらか一方の言語を使うと必ず不平等が生じる。そのような不平等を解決する方法として、132年前にポーランドのユダヤ人眼科医師、ザメンホフという人が書斎で考案した言語が「エスペラント」である。エスペラントにはネーティブスピーカーがおらず、誰にとっても「外国語」なので対等にコミュニケーションができる。

学生の頃、それに魅力を感じてエスペラントを学び始めた。この言葉を使うと、不平等を感じず気持ちよく会話ができた。さまざまな国の人とも知り合うようになった。その中に韓国人エスペランティストもいた。韓国には全く興味がなかったが、彼に誘われて訪韓した。  

現地では主にエスペランティストたちと交流をしたが、エスペラントを話せない韓国人にも出会った。その中には、私が「日本から来た」と言うと日本語で話してくれる人もいた。韓国語ができない私は日本語で話すことになる。その時、日本に来て英語で話し掛けてくる外国人と自分が同じことをしている、と気付いた。これがきっかけで私は韓国語を学ぶようになった。

英語を学ぶ日本人は多いが、その逆は少ない。同じように日本語を学ぶ韓国人は多いが、その逆は少ない。言語間の不平等を解決するには、学習者の少ない言語を学ぶ人が増えれば良いと考えたのである。しかし、話はそれほど簡単ではなかった。

日本人である私が韓国語を話すと、必要以上に褒められるのである。日本語を上手に話す外国人や、家事・育児をする男性がチヤホヤされるのとよく似ている。不平等をなくすにためには、そういうおかしさを常に意識しなければならないということも、韓国語を通して学ぶことができた。

(中国新聞select 2019.5.6)
広島エスペラント会会員による投稿です